そのうち日記

ありきたりなことを書く

漫画の話【宮本から君へ】

無料のアレの漫画のアレです〜

 

宮本から君へ 

宮本から君へ [完全版] 1

宮本から君へ [完全版] 1

 

ひえー疲れた疲れた。

この作者の作品はとにかく癖が強くて勢いとか怒りとか胸糞悪さとかギュギュッとしてる気がします。

あと下品ネタが多いのでお気をつけあそばせ〜

とにかく、読み始めた当初のイメージと終わりのイメージは全く違ったものになってた気がします。

 

※ネタバレ注意

※言葉遣い悪いので注意

 

最初はどこにでもいる不器用なサラリーマン宮本の営業奮闘記?って感じでした。

後半になるにつれて人間離れしていきます。

 

最初はまだ人間らしいというかよくいる?青年の宮本。

大人ならそこは空気読んでこうするだろ…ってのも読めないし、営業スマイルもできないし、学生時代何やって来たんだろうって思いました。

でもとにかくアホで真っ直ぐで、上司や取引先の中には宮本のそんなところを気にいる人もいる。

孤立しかねなかったけれど神保さんと小田課長が居たから良かった…。

島貫に対する土下座ラッシュはすごかった。

というか島貫にはずっと腹立ってました。誰か蹴っ飛ばしといて〜

営業先の人たちや、野次を飛ばしたりする周りの人たちもいい味出してます。

 

女性関係もなんだかパッとせず…。

初っ端の女性、甲田さんに対してもオドオドした感じで、突然大声出したりと学生時代彼女がいたのはホラか?って思うくらいの不器用さ。

そこがまたトレンディでもありました。

この作品に出てくる女性たちは、基本的にあっけらかんとしてて明るくて性格が可愛い。

笑い飛ばしてくれるような女性たちじゃなければ、ドン引きされて終わる可能性もありました。

既婚女性たちのドーンとした態度も、未婚女性たちのキャピッとした態度もそれぞれ良かったなぁ。

やっと一番リアルに感じたのは、出産後の緑ちゃんかな。

 

靖子と関わるようになってからは読むの辛かった。

最初の頃はもう幸せが顔から漏れ出てくるような生活を送ってるわけですよ。

ずっと続けば良いのに。

でも「幸せ貧乏人」の名の通りなのか…。

 

裕二も良い奴なんだか悪い奴なんだか。

悪知恵が働くというか小賢しくて女にモテる。

許さなければ徹底的にやる(ヤンキー中学生みたいな語彙ですみません)。

たぶん器用に生きていける人で少し羨ましい気もするけど、男らしくはないですね。

父親になれないならああいう風に堕ろせって言ってくれた方がいいのかなぁ。

一番良いのは父親になるから産めって言われることなんでしょうけど。

そして最悪なのは雲隠れとか、責任の押し付け合いしたままタイムリミットなのかなぁ。

そこらへんの潔さは遊び人ゆえなのですかね。尊敬しませんけど。

 

靖子が強姦されるシーンは、すぐそばに酔った宮本が爆睡かましてて悔しかった。

奥歯痛くなるくらい腹が立った。

妙に生々しくて気持ち悪い。去勢して藪にでも捨てちまえ。

その後の靖子も見てらんなかった。

あのクソ息子の態度よ。

あんなんでも彼女いるのが胸糞悪い。

でも最終的にそのままにする宮本じゃなかった。

顔面も性格も半狂乱で毎日過ごしてたけど、最後の最後に握りつぶしてくれました。

犯人の父親は取引先であることで宮本も派手には動けず…母親にも一方的に恨まれてしまいます。

悪い奴は悪いとハッキリ言えたら良いけれど、靖子と宮本の問題もあり、宮本と取引先の問題もあり。

最後に犯人の母親に大怪我を負わせたことなどの責任を問われ面と向かって「何とも思わない」と言い放ったのが良かった。

 

出産のシーンもまた靖子が靖子が〜(泣)ってなりかけました。

誰かそばにいてあげてよ!ってそれが宮本か。

駆けつけた救急隊の塩対応も好きでした。

裕二から聞いた靖子の一途さとか、普段はカラッと笑い飛ばして説教する男勝りなのに、たまに見せる弱さ。

迷いながらではありましたが、宮本視点なこともあり宮本が選ぶのに納得の女性でした。

結婚を納得させたシーンは宮本が勝ちました。

キャピキャピ女たちよりは共感できました。

 

両親への結婚報告のシーンも一筋縄ではいかないというか、そりゃ当たり前よって結果になります。

ここで洗いざらい吐いて大団円となるわけがありません。

ここら辺はこれから解決していくべき問題ですね。

 

営業での成功や、自分の気の済むようにできた経験で、当初の宮本と終盤の宮本は別人になった気がします。

先輩相手に拳はあげるわ、昔の女には冷たくできるわ、彼女の親には愛嬌よくできるわ…。

最初は割と常識的でしたが、最後はもう暑苦しいくらいに暑苦しい。

終盤に近づくにつれ、毛はなくなるわ歯はなくなるわ顔の原型もなくなるわで、これは浦安鉄筋家族だったっけ?って感じでしたが、ちゃんと終わりにはほぼ完治しました。

 

読んでなんか疲れた理由の一つは、歯を食いしばったり手をギュッと握りすぎたりしたことなども含まれると思います。

チェッカーズ張りのギザギザハートになったところで物語は終幕。

仕事でも人間関係でも、理不尽に対する怒りが原動力になってました。

 

小説など含めた読書って他人の人生や脳内を垣間見る行為だと思うんですね。

百聞は一見にしかず、己の人生に勝る経験はないのですが。

そこで得た疑問や人物の心理状態や物事がうまくいかない理不尽に対する怒りや葛藤が私は面白いです。

奥歯が割れそうだぁ…